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2021.03.16

芝居を通して、地域とつながる[前編]出張お芝居!ぷちまり

~ 自由な発想や遊びの心を大切に ~

 

[インタビュー:ぷちまりメンバー]

下寳(しもほう)礼奈さん(代表・4年)、松村南那さん(4年)、太田美樹さん(4年)、永坂卓也さん(3年)、村田聖樹(せいな)さん(2年)

 

 

大道具も小道具もなにもない舞台で、黒一色の衣装を身に纏い、むかし話に独自の解釈を加えた演目を披露する出張お芝居ユニットが静岡文化芸術大学の「出張お芝居!ぷちまり」です。2013年から浜松市内の小中学生たちに対し、演技指導の講座を開き、表現の楽しさとともに演劇を媒介としたコミュニケーションを展開しています。今回は、「ぷちまり」のメンバーの皆さんに、グループの活動についてお話を伺いました。

 

▲代表としてぷちまりのまとめ役を担った下寳さん

 

 

―― 「ぷちまり」の活動が始まったいきさつを教えてください。

(下寳) 私たちの活動は10年ほど前、大学の「多文化共生社会の実現に向けた交流支援と学習支援のあり方をめぐる実践的研究」の一環として、東区長上地区にある与進中学校とブラジル人学校 EASの交流を目的とした支援活動が始まりと聞いています。東京に拠点を置くプロの演劇集団「お芝居デリバリーまりまり」(※1)さんに演技指導や舞台演出などの面で協力いただき、先輩方が試行錯誤を重ねながら独自の手法を編み出して、現在まで受け継がれてきています。現在「ぷちまり」は、1年次の選択授業「地域連携実践演習」の一環として、市内の中学生を対象に活動を行っていますが、私たちは授業が終了した2年次以降も続けて活動をしています。メンバーは2年生から4年生まで、今日参加できなかった田中さんを含めて6名です。

 

―― 「ぷちまり」の演劇の特徴というのはどういうものですか?

(下寳) 「まりまり」さんは、どこでも出張してお芝居をするということと、登場人物は全員黒い服を着ていて、大道具も小道具も音響も一切なく、身一つで表現しています。また、畳一枚分のスペースでお芝居をするというのも「まりまり」特有のスタイルです。「ぷちまり」は、畳一枚分のスペース以外はほぼ同じといっていいと思います。それから、お芝居のテーマはむかし話をベースにするというのも特徴で、これも踏襲させていただいています。

 

―― では、具体的な「ぷちまり」の活動について教えてください。

(下寳) メインの活動は毎年10月から11月にかけて行う「お芝居プロジェクト」です。これは浜松市と大学の連携事業(※2)の一環の活動で、地域の中学生と一緒にお芝居づくりを通してコミュニケーションを学んでいます。中学生たちとは毎週土曜日、5回のワークショップを行う中でお芝居を作っていき、最後に成果発表会を行っています。

 

▲舞台では一人ひとりが何役もこなす。時には木や桃、臼などに扮することも

 

―― わずか5回のワークショップでお芝居を完成させるのは大変そうですね。

(下寳) 5回といっても、1回目はお互いに仲良くなるために使いますし、2回目は参加してくれた20名ほどの中学生を5名ずつのグループに分け、話の内容を考えるために使いますので、お芝居の練習に当てられるのは3回だけなんですよ。それでもお芝居自体は5分前後のものなので、なんとかなるんです(笑)。お芝居の中身は、むかし話の設定を活かしつつ、中学生とアイデアを出し合いながら創作していきます。なので、浦島太郎のお話に桃太郎が出てきたり、赤ずきんちゃんの話に青ずきんちゃんが出てきたり、かなり自由なんです。

(松村) ワークショップの一番初めにまず私たちだけでお芝居を作って、演じるところを見てもらいます。「こうやって作るんだよ」というのを見せると、中学生からもアイデアが出てきやすくなりますね。

 

▲「ぷちまりの作り出す雰囲気が好き」と語る松村さん

 

(村田) 中学生の発想はとってもユニークで、中には不思議なアイデアもあるんですけど、私は「面白いからOK!」って言っちゃいますね。

(永坂) とにかくなんでもありです。以前、桃太郎をベースに芝居を作ったときは、おじいさんとおばあさんが筋肉モリモリのマッチョになっていました(笑)。

 

―― 中学生たちのアイデアが芝居づくりには欠かせないわけですね。

(下寳) 「ぷちまり」はお芝居のクオリティや内容よりも、遊びとか自由な発想に意味があると思っています。参加する中学生も元気な子たちばかりではありません。中には学校に馴染めていない子や人前での活動に慣れていない子などさまざまです。でも、初めは内気な感じだった子でも、参加するうちに、吹奏楽部のリーダーになったり、家族と出かけたお店で店員さんに「ありがとうございます」と言えるようになったという話を伺うことがあります。そうした中学生の心の成長にこのプロジェクトが少しは貢献できたのかなと思うと嬉しいですね。

 

―― ほかに中学生の成長を感じられることはありますか?

(下寳) プロジェクトの締めくくりに「成果発表会」でお客さんに観ていただく機会を設けますが、発表会でのお芝居には成功も失敗もないんです。観ている方からは「声が小さかった」といった感想をいただくこともあるんですけど、やっている側としては「みんなでお芝居を作って、完成して、発表できたこと、それだけでOK!」だと考えています。

(太田) 中学生が初めはうまく喋れなかったり、コミュニケーションが取れなかったりする姿を観に来られたみなさんはご存知ないので、仕方ないかもしれないんですけどね。でも、大人しかった子どもたちが、少しずつ自分を出せるようになって、やがて積極的に芝居づくりに参加してくれて、発表するところまでの姿を私たちは間近で見ているので、「こんなにできるようになったんだね」って嬉しくなりますね(笑)。

 

▲「中学生の成長する姿を間近で見られるのが楽しい」と太田さん

 

芝居づくりという交流を通して、中学生たちの自由な発想や個性を伸ばす活動を行っている「ぷちまり」。後編では、「ぷちまり」を続けている理由や、活動を通して得た学びについてお話を伺っていきます。

 

 

 

 

出張お芝居!ぷちまり

芝居を用いた交流を目的とし、2013年に静岡文化芸術大学の学生有志で結成されたお芝居ユニット。浜松市内の協働センターに出向き、中学生を対象に身体表現を用いる演劇活動の講座を開き、表現の楽しさを味わうとともに、演劇を媒介としたコミュニケーションを目的とする活動を行っている。

Twitter @petit_mari_mari

 

 

 

※1 お芝居デリバリーまりまり:2005年活動開始。誰でも楽しめる昔話のお芝居を、国内外どこにでも「出前」で届けている演劇集団。

※2 浜松市と大学との連携事業:浜松市と大学が連携・協力して、浜松市の生涯学習を一層推進することを目指す事業。地元の大学生が講師となり、大学での学びの成果を活かした講座を生涯学習施設で開催することを通し、大学生と市民が互いに自己の学びを深めている。

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