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2021.03.17

芝居を通して、地域とつながる[後編]出張お芝居!ぷちまり

~ 自分の個性に気づいてもらう ~

 

[インタビュー:ぷちまりメンバー]

下寳(しもほう)礼奈さん(代表・4年)、松村南那さん(4年)、太田美樹さん(4年)、永坂卓也さん(3年)、村田聖樹(せいな)さん(2年)

 

 

学生たちが主体的に活動を行ってきた「ぷちまり」。後半では代々受け継がれてきた活動に対する思いや、どのような学びを得ることができたのかお話を伺っていきます。

 

 

―― 授業の単位を取った後も活動を継続されている理由はなぜなんでしょうか?

(下寳) 「楽しかったから」ですね。毎年、参加してくれる中学生たちの多くは入れ替わりますし、雰囲気も違ってきます。そのたびに「今年はどうアプローチしていこうか」とか「どうすればうまくいくかな」といろいろ考えて動きます。その想像力をフルに稼働させるのが楽しいですね。

(永坂) 自分の場合は、将来、個人の活動として演劇を使ったワークショップをやってみたいと思っていますので、「ぷちまり」の活動でいろいろ学ばせてもらおうというのが大きいですね。後は自分が純粋に舞台に立ちたいということもあります(笑)。

(松村) 私は演劇に興味があって、他の劇団に所属したこともあるんですが、求められるものが高かったこともあって馴染めなかったんです。でも「ぷちまり」は、自分の発想がお芝居に組み込まれたり、演技の上手い下手が重要視されなかったりして、居心地良かったので、辞めようとは思わなかったですね。

(太田) 私は演劇未経験で最初は不安しかありませんでした。でも、みんなの意見を「いいね!」と取り入れるところが楽しくて、活動を続けようと思いました。

(村田) 私は、演劇が好きですし、人前で何かをするのも好きですし、小さい子たちと絡むのも好きです。その好きなことが3つとも揃った「ぷちまり」は、魅力しかないんです(笑)。

 

▲「中学生とわいわい楽しくお芝居を作るのが私の癒やしでもあるんです」と村田さん

 

―― 「ぷちまり」に参加して、自分が成長した点や変化を感じることはありますか?

(松村) もともと自分のことを表現することが苦手でした。それが「ぷちまり」の舞台に立つうち、やりやすい役やキャラクターがあることに気づくことができ、それからは表現することが楽しくなりました。するとそれまで人前でモゴモゴした話し方しかできなかったのが、次第に自分の言葉で伝えられるようになっていったと思います。

(下寳) 中学生はもちろん、大学生の個性を生かすことができるのも「ぷちまり」なんです。

(太田) 私もすごく緊張しやすくて、舞台でお芝居したり、人前で話をすることがとても苦手だったんです。それが「ぷちまり」で役に徹しているうちに次第に緊張しなくなってきて、昔よりは自分らしく話せるようになったかなと思いますね。

 

―― そういう経験があればこそ、前に出ることが苦手な中学生の気持ちもわかるんですね。

(太田) 中学生たちも「上手にお芝居をしなくてはいけない」と緊張したり、「きちんとやらなくちゃ」とプレッシャーを抱えたりしているので、自分らしく表現すれば良いんだよと、心が和らぐように働きかけられるようになったかなとは思いますね。

 

―― そんな4年生を見て、後輩としては引き継いでいきたいことはどんなことですか?

(村田) 先輩たちは笑いのセンスといいますか、場を楽しくするスキルがとても高いんです。そういう雰囲気が中学生の心を開かせるのを見ていますので、私も先輩方の笑いのセンスを吸収したいですね。

(永坂) ガチガチにならないように、中学生のみんなと楽しんで芝居を作ることは、ぜひ継続させていきたいと思います。

 

▲4年生の後を引き継ぐ永坂さん。「不安しかないですけど、やるしかないですね」

 

―― その一方で、4年生の皆さんも先輩方から影響を受けているんでしょうね。

(太田) 先輩方は、人と違うことを否定しないところがすごいなと思いました。中学生は多感な時期で、自分と他人が違うことがコンプレックスになっている時期ですよね。その中で大学生が「いいね!それが君の個性だね!」とアイデアを芝居に活かしてくれる。すると中学生も「人と違うと思っていたところが良いところなんだ」と自分を再認識できるので、途端にいきいきとしてくるんです。それでいて、楽しいときは思いっきり楽しむ一方、ちゃんとしないといけないときはぴしっと言える部分も持っていて。臨機応変な対応が素晴らしくて憧れました。

(下寳) 私が先輩方から影響を受けたのは、中学生や保護者の方々とのコミュニケーションです。対応の仕方一つひとつが勉強になりました。そして、お芝居の表現の引き出しがとても多いのも学ばせていただいた点です。参加する中学生を見ていても、先輩方とのお芝居づくりの場が自分の居場所になっていて、中学生たちが会いたがる人たちでした。私もそうなりたいと思いましたけど、まだまだ追いつけていないなって思っています。

 

―― 4年生の皆さんからのこれからの「ぷちまり」に贈る言葉としては?

(松村) 中学生の心を開かせるために、中学生の流行を事前に調べて準備したこともあったんですけど、結局、一番心を開いてくれたのは、私自身が一番楽しんでいる存在であることでした。私が常に限界突破していたら、雰囲気も明るくなるし。そんな私を見て、中学生も「こんなふざけていいんだ」とか「こんな恥ずかしいことをしていいんだ」と思ってくれるんです。だから、常に笑って、全力で楽しんでいる雰囲気が大事なのかなって思います。

(下寳) 昨年は新型コロナウイルスの影響でそれまでと比べて全然活動できなかったのが残念でした。ただ、規模は小さくなりましたが、中学生とお芝居づくりができましたし、保育園や学童保育に出張してお芝居を見てもらうことができました。今年もなんらかの形で継続してほしいと思います。お芝居を通じて、地域の皆さんや中学生たちと交流するのは、想像以上に意義があると思いますから、続けてほしいと思っています。

 

▲今年度は初めて保育園で芝居を発表。食い入るように見つめる園児の背中が印象的

 

 

「ぷちまり」に参加したことが、卒業後の進路を考える上で影響があったと口を揃える4年生の皆さん。自由な発想で芝居づくりを体験したことは、中学生たちに充実感や達成感を経験させるだけでなく、大学生である自分たちの可能性を見出したことにもつながったのかもしれません。地域交流の新しい手法として今後の活動が期待される「ぷちまり」。後輩たちがどのように継承し展開させていくのか、とても楽しみです。

 

 

出張お芝居!ぷちまり

芝居を用いた交流を目的とし、2013年に静岡文化芸術大学の学生有志で結成されたお芝居ユニット。学生が主体となり浜松市内の協働センターに出向き、中学生を対象に身体表現を用いる演劇活動の講座を開き、表現の楽しさを味わうとともに、演劇を媒介としたコミュニケーションを目的とする活動を行っている。

Twitter @petit_mari_mari

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