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2020.03.23

浜松ならではの楽器がつなぐ国際交流[前編]HANDs / 夏目茉実さん、加藤諒也さん

〜このまちで暮らすからできること〜

 

鍵盤ハーモニカを寄贈したフィリピンの子どもたちと

 

日本初となる国産ピアノをはじめ、さまざまな楽器を生産する「音楽のまち・浜松」。実は、幼稚園や小学校の音楽の授業に欠かすことのできない「鍵盤ハーモニカ」の国内シェアのほとんどを占める二大ブランド「メロディオン」(鈴木楽器製作所)、「ピアニカ」(東海楽器製造とヤマハ)は、いずれも浜松で生産されています。今回は、そんな鍵盤ハーモニカをフィリピンの子どもたちに寄贈している静岡文化芸術大学の学生団体「HANDs(ハンズ)」の代表である夏目茉実さんと、会計担当の加藤諒也さんを訪ね、お話を伺いました。

 

HANDsの夏目茉実さん、加藤諒也さん

▲夏目茉実さん(左)、加藤諒也さん(右)

 

ーー「HANDs」を始めたきっかけを教えてください。

 

(夏目)2016年、私たちの先輩がグローバル人財サポート浜松(※)と一緒に日系人社会の調査としてフィリピンのダバオに行ったとき、小学校のラジカセが壊れていたりするのを目にし、音楽を学ぶ環境が整っていないと感じたそうです。音楽のまち・浜松で学ぶ学生として、何か自分たちでできることはないかと考え、使われなくなった鍵盤ハーモニカの寄付を募り、フィリピンの学校へ寄贈することを決めました。他の楽器と比べて、鍵盤ハーモニカは持ち運びもできるし、誰でも音を出せる身近な楽器だったことも選んだ理由なのかもしれません。日本では誰もが音楽の授業で使っていますから、中古の楽器を集めやすく、再び活用できるというエコな面もあります。そして、「寄付によって音楽を学ぶ機会を創出する」を目的に、2017年「HANDs(Hamamatsu ANd Davao smile project)」が発足しました。

 

(加藤)フィリピンには、MAPEH(music art physical education health)と呼ばれる音楽や美術、体育が1つになった総合学習のような授業はあるけれど、日本のように独立した音楽の授業はなく、子どもたちが楽器に触れたり、生演奏を聞いたりする機会がとても少ないんです。だから僕たちが寄贈した鍵盤ハーモニカを使って一緒に演奏することで、もっと音楽の楽しさに触れてもらえればいいなと思っています。

 

ーー具体的な活動内容を教えてください。

 

(夏目)大きく3つあって、1つは「鍵盤ハーモニカの募集・清掃」、次に「フィリピンの小学校に寄贈する」、3つめに「子どもたち同士の音楽交流」です。募集は新聞をメインに呼びかけています。寄付されるのは個人の方が多く、子供が大きくなって使われなくなったものや、何十年も前に自分が使われていたものが多いです。壊れて音が出ないものもあるんですが、別の壊れたものからパーツを取って自分たちで修理することもあります。HANDsは2年生を中心に11名が活動していて、みんなで鍵盤を拭いたり、ホースの洗浄をしたりするのですが、これがとても大変な作業で(笑)。それでも、寄付してくださった方たちの気持ちや、現地の子どもたちの笑顔を考えるとがんばれるんです。あと、フィリピンの小学校と日本の小学校をインターネット電話「スカイプ」でつなぎ、合同演奏会を行います。言葉が通じなくても通じ合える音楽というツールを用いて交流することで、子どもたち同士のつながりの強化、お互いの国のことを身近に感じてもらいたいという思いで開催しています。

 

鍵盤ハーモニカの掃除

▲メンバーみんなで掃除。音階が分かるように鍵盤にシールを貼っていく。

 

(加藤)小学校の音楽の先生から連絡があり、学校で使わなくなった鍵盤ハーモニカを寄贈してもらったこともありました。今年は70台ほどが集まり、昨年一部持ち越した分を合わせて約100台をこの2月に寄贈してきました。本来であれば、2校に寄贈する予定でしたが、新型コロナウイルス感染症対策で外部の人は小学校には入れないとなって、1校しか寄贈できなかったのが残念でした。

 

ーー現地の子どもたちに鍵盤ハーモニカの使い方を教えるのも大変そうですね。

 

(夏目)2018年度は、ヤマハでスクールプロジェクトをされている方や、鍵盤ハーモニカのレッスンをされている方にもご協力いただき、指導方法や子どもたちに教えるうえでのアドバイスをいただきました。フィリピンでは鍵盤ハーモニカは珍しく、触るのはみんな初めて。吹けば音は出るけれど、どこが「ド」なのか分からないし、舌を使って演奏するタンギングもできません。相手は小学校の低学年なのでなかなか難しい部分もありますが、現地の先生方にもサポートいただき、なんとか教えることができました。

 

(加藤)「きらきら星」を弾けるようになることを目標に指導するんですが、その日の午後には合同演奏会があるので、午前中のうちに吹けるようにならないといけないから、子どもたちも真剣。合同演奏会では、2018年度に寄贈したときの児童も参加してくれ、みんなで上手に演奏することができました。さらに、僕たちを見送るセレモニーでは、鍵盤ハーモニカで賛美歌を演奏してくれたんです。僕たちが届けた鍵盤ハーモニカがこうやって使われているんだと思うと、とてもうれしくて、思わず泣いてしまいました(笑)

 

鍵盤ハーモニカを演奏するフィリピンの子どもたち

▲セレモニーでは賛美歌を演奏

 

フィリピンの小学校の実情を知り、音楽教育をサポートしたいという思いでスタートした「HANDs」。後編では、活動を通じてどのような学びがあったのかお聞きします。

 

※ 一般社団法人グローバル人財サポート浜松
グローバル化が進む地域社会に貢献する人材の育成と活動の支援、浜松市における共生社会の構築に向けて、外国人の社会的自立に向けた人材育成や、地域日本語教育を担う人材の育成などを行なっている。
http://www.globaljinzai.or.jp/

 

HANDs(Hamamatsu ANd Davao smile project)
使わなくなった中古鍵盤ハーモニカの寄付を募り、フィリピンの子どもたちに送り届け、音楽教育を通じて浜松とフィリピンをつなぐ活動を行っている静岡文化芸術大学の学生団体。2017年に発足し、延べ270台あまりの鍵盤ハーモニカを寄贈。
https://twitter.com/Hamamatsu_Davao
鍵盤ハーモニカ寄付のお問い合わせは、handsmile.project@gmail.comまで。

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