• HOME
  • トピックス
  • 誰だって自分たちのまちを変えられる[後編]浜松PPPデザイン / 松島弘幸さん・鈴木裕矢さん・藤田超さん

トピックス

2020.02.14

誰だって自分たちのまちを変えられる[後編]浜松PPPデザイン / 松島弘幸さん・鈴木裕矢さん・藤田超さん

〜「つまらない」を「楽しい」に変える方法〜

 

「居場所づくりでシビックプライドを増やすまちづくり」というミッションを掲げる「浜松PPPデザイン」。後編では、彼らが理想とするまちのあり方について話が及びます。

 

▲松島弘幸さん(写真左)・藤田超さん(中)・鈴木裕矢さん(左)

 

ーーミッションを実現するためにどのようなことをしているのですか?

 

(鈴木)ミッションにある「居場所」とは、簡単に言えば「自分がいていい場所」。お店でもいいし、公園でもいいんです。2018年、2019年と開催した「ローカルコーヒーフェス」は、地元のコーヒー屋さんを知ってもらうことで、自分の居場所を見つけて欲しいという意図があります。地元にこんなお店があったんだと知って、通うことでファンになって、自分の居場所が増えていく。そんな状況が生まれたらいいなと思っています。

 

ーーローカルコーヒーフェスに参加しましたが、空間デザインや浜松城公園の木々の雰囲気も手伝って、とてもいい雰囲気でした。

 

(松島)ありがとうございます。1,000円で販売していたコーヒーチケットですが、コーヒーの引換に使えるのは800円分しかないって気付いていました?200円分は運営資金に充てました。気付いていないお客さんも多かったみたいですが、こんな素敵なイベントをするんだから、もっと取ってもいいくらいという人もいて。きっと、コーヒーを飲むというサービスを受けるだけの参加者だったら、文句が出ていたかもしれませんが、僕たちの意図を理解してくれるお客さんが来場していたんでしょうね。

 

(藤田)当日はゴミ箱を置いていなかったけど、紙コップなどのゴミはほとんど落ちていなかったしね。一緒にイベントを作り上げようという感覚を持ったお客さんが来ていたんだと思うよ。

 

(鈴木)あと、ミッション実現のためのステップにもあるんですけど、「地元で経済を循環させたい」という思いもローカルコーヒーフェスには込められています。全国チェーンのお店ではなく、地元のタタズミCoffeeの松島の淹れたコーヒーを飲もうぜって(笑)

 

(松島)いやいや(笑)。別にチェーン店を否定しているわけじゃないですから。チェーン店を使っている人が、1回でも2回でもいいから、地元のお店を使って欲しい、応援して欲しい、ただそれだけだから。ローカルコーヒーフェスが自分の居場所をつくることや消費するということに関して主体的に行動するきっかけになってくれればいいなと思っています。イベントを通じて、僕たちの思いに共感してくれる人が大勢いることが分かったし、そういう輪が広がっていってくれたらうれしいですね。

 

▲「ローカルコーヒーフェス2019」参加者のみなさんと記念撮影

 

ーー確かに自分の居場所を見つけることと、その居場所を守るための行動をつなげていくことで、居心地は良くなっていきますよね。

 

(藤田)以前、浜松PPPデザインで企画したウォーターサイドショップ「T-flow」の改装は、最初俺の設計事務所に来た仕事だったんです。でも、実際に現場を見に行ったら、いろんな人が来る場所で、俺だけのデザインではダメだと思い、素人も交え、みんなでDIYする「MikkaBeat(ミッカビート)」というプロジェクトにしたんです。そうすることで、俺が考えた場所ではなくて、みんなで考えた場所になった。だから、みんなT-flowを大事にしていますよ。一人ひとりの思い入れのある場所がもっと増えたら、楽しいまちだって感じるんじゃないかな。

 

▲DIYワークショップで完成した店舗

 

(松島)お店って他人(店主)のもの、という感覚を持つ人は多い。特に中高生とか若い子はそんな感覚だから、浜松を出ていったら帰ってくる理由がないんですよね。じゃあどうやって思い入れのある場所をつくるかといったら、自分が関わった場所をつくっていくしかない。例えば、まちなかの店舗づくりに中高生を関わらせる。自分たちの思いが入ることで、人ごとではなくなる。もし、あの店がつぶれるって聞いたら、「えっ!」ってなると思うんですよ。そんなまちづくりも、ありなんじゃないかと考えたりするんですよね。

 

(藤田)俺には子どもがいるんだけど、どこに行ってもいいし、何をやってもいいけど、浜松はいつか帰ってくる場所であって欲しい。帰ってこられる場所、それが居場所。居場所をちゃんとつくってあげれば、いい思い出ができるし、大人になるにつれて大切な場所になっていくはずだから。

 

(松島)今の浜松ってどう?と聞かれたら、「つまんない」って言う人は少なからずいます。でも、浜松はつまんないっていう人は、実はどこに行ってもつまんないって言う人だと思う。楽しいことは与えられるものだと思っているんですよね。そういう人たちが、「楽しいまちだよ」って自ら言えるようにするためには、受け身の姿勢を変えていかないといけない。楽しいという部分を見えるようにして、自発的に動ける手助けをしたいなと思います。

 

ーー浜松PPPデザインがそれをサポートしていくということですか。

 

(松島)そうありたいですし、僕たちの活動が、他の人がアクションを起こすための刺激になればうれしいですね。僕らのイベントに参加してくれる人も、やる側に回れるから。僕らも一市民だし、市民が市民を盛り上げるというか。そういう循環が生まれたら、自分の住む地域を好きな人が増えて、どんどん楽しいまちになっていくと思います。

 

ーー今後の目標を教えてください。

 

(松島)居場所をつくる仕事をしたいですね。あと、行政の受託事業も。税金には依存しないけど、税金を使ってでもしないといけないこともあるから。僕らもイベントだけでなく、次のステージに進まないといけないですし。

 

(鈴木)営業品目はグラフィック、建築、イベントです。よろしくお願いします!

 

(松島)コーヒーもありますよ(笑)

 

 

まちづくは行政が行うものという発想だと、あれをして欲しい、これをして欲しいとサービスを求めがちになります。自分たちが行動するからこそ、自分たちの理想とするまちを手に入れることができると、「浜松PPPデザイン」は教えてくれます。自分だったらどんなまちに住みたいか想像してみる。まちづくりは、そんなことから始まるのではないでしょうか。

 

浜松PPPデザイン
「タタズミcoffee」店主であり、公民連携プロフェッショナルスクール研究員である松島弘幸と、グラフィックデザイナーでときどきカメラマン「空色デザイン」代表の鈴木裕矢、new&s代表で、フォルム設計事務所所属する建築家の松本憲、設計事務所アーキジャム代表・藤田超の4名からなる任意団体。公民連携にとらわれず、独特のアイデアとデザインセインスでまちづくり全般に関わる。「防災×キャンプ PUBLIC DAY」(2017)、「ローカルコーヒーフェス」(2018・2019)、「MikkaBeat」(2018)などを企画・運営。
https://www.hamamatsu-ppp.com/

ARCHIVE