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2020.03.25

浜松ならではの楽器がつなぐ国際交流[後編]HANDs / 夏目茉実さん、加藤諒也さん

〜一緒に豊かになっていく〜

 

中古鍵盤ハーモニカの寄贈を通じて、フィリピンの音楽教育をサポートする静岡文化芸術大学の学生団体「HANDs」。後編では、活動を通して気付いたことや学んだことを伺いました。

 

▲夏目茉実さん(左)、加藤諒也さん(右)

 

ーーおふたりは2年生で、この2月に初めてフィリピンのダバオに行き、寄贈してきたそうですが、2年間の活動を振り返ってみていかがですか?

 

(夏目)フィリピンというと貧しい国というイメージがありましたが、行ってみたらそんなことはなくて。確かに壁が壊れていたり、日本と比べて貧しい部分もあったりしますが、そこで暮らす人たちはそんなことを気にしていなくて、私たちと同じように生活しているのが印象的でした。貧しい国の人たちではなく、私たちと同じ人だというのを強く感じました。

 

(加藤)言葉は通じなくても、鍵盤ハーモニカの演奏や笑顔を通じて分かり合えるんだと感じました。

 

▲たくさんの子どもたちを前に鍵盤ハーモニカの使い方を教える

 

ーー現地の小学校を訪ねるだけでなく、浜松市立佐鳴台小学校でも活動をされていましたね。

 

(夏目)インターネット電話「スカイプ」を使ってフィリピンの小学校とつなぎ、佐鳴台小学校の6年生と一緒に「きらきら星」などを合同演奏しました。質問タイムでは、「好きな食べものは何ですか」「放課後は何をしているの」といった質問に現地の子が元気よく答えてくれて。佐鳴台小学校の児童も「遠い国だと思っていたけれど、いつかフィリピンに行ってみたい」と話してくれ、音楽を通じてフィリピンを身近に感じてもらえたようでうれしかったですね。

 

▲スカイプを使い、浜松市とフィリピンをつないで国際交流

 

(加藤)佐鳴台小学校では今回の交流会のために実行委員会を作ってくれて、そういう前向きな児童の気持ちもうれしかったです。僕は音楽が好きで中学校では吹奏楽部に所属していました。音楽を通じた国際交流というものに興味があったので、今回のような交流会を通じてお互いを理解するのはとてもいい取り組みだと思います。

 

(夏目)浜松市は外国籍の子どもが多い地域で、それを支援するコミュニティが整っていたり、多文化共生にも積極的なイメージがあります。一緒に活動しているグローバル人財サポート浜松の堀さんから教えてもらったのですが、「HANDsの活動はSDGs(持続可能な開発目標)の項目の1つ『質の高い教育をみんなに』に該当するから、がんばって続けて欲しい」と浜松市長が話していたそうで、素直にうれしく思いました。

 

ーー「HANDs」としてこれからの展望を教えてください。

 

(夏目)鍵盤ハーモニカを継続的に寄贈できている学校もあれば、できていない学校もあります。一度に届けられる数は限られていますが、同じ学校に継続的に届け、台数を徐々に増やしていくとともに、これまで寄贈する学校をもっと増やしたいです。ただ、現地の治安の問題などがあるので簡単なことではないですが、ダバオ教育省のお墨付きをいただいた活動なので実現させたいです。まずは、鍵盤ハーモニカをちゃんと集めて、しっかり掃除して、演奏を教えるという私たちの仕事をがんばりたいと思います。

 

(加藤)「HANDs」のことをもっと広く知ってもらい、鍵盤ハーモニカの寄付にもつなげたいし、応援してくれる人がもっと増えたらうれしいです。学生団体なので学生だけしか参加できないと思われているかもしれないけれど、大人の協力も大歓迎です。例えば、楽器メーカーを退職された職人さんに鍵盤ハーモニカの直し方を教えてもらうというのもありかもしれませんね。

 

▲学生たちが手づくりしたポスターを使い、現地の子どもたちに浜松を紹介

 

ーー次年度は3年生になりますが、「HANDs」に限らず、今後の夢を教えてください。

 

(加藤)もともと教員になりたいと思っていました。この活動を通じて、フィリピンは貧しい国だと思っていたけれど、実際はそうではなく、いろいろなことを学んだり、勉強することのできる機会がなかっただけなんだなと気付きました。自分で見たり、体験したりすることはとても大切で、外国はとても身近なんだということを子どもたちに伝えていきたいですね。

 

(夏目)ずっと多文化共生に興味があって、観光の仕事など、外国人の方たちと関わる仕事をしたいと思っています。「HANDs」では、異文化交流の大切さや、外国を身近に感じられる素晴らしさを学んだので、それを伝えられる仕事に就ければいいなと思っています。

 

▲寄贈した子どもたちから感謝を伝えるメッセージカード

 

フィリピンの子どもたちに鍵盤ハーモニカを届けたいという活動が、いつしか、現地の子どもたちと浜松の子どもたちをつなぐきっかけを作り、国際交流の輪が広がっていった「HANDs」。音楽は国境を超えることを改めて実感するとともに、この活動をきっかけに、多文化共生や観光、教育などにも興味が広がり、わくわくする未来をたぐり寄せる夏目さんと加藤さんの姿が印象的でした。

 

HANDs(Hamamatsu ANd Davao smile project) 使わなくなった中古鍵盤ハーモニカの寄付を募り、フィリピンの子どもたちに送り届け、音楽教育を通じて浜松とフィリピンをつなぐ活動を行っている静岡文化芸術大学の学生団体。2017年に発足し、延べ270台あまりの鍵盤ハーモニカを寄贈。
https://twitter.com/Hamamatsu_Davao
鍵盤ハーモニカ寄付のお問い合わせは、handsmile.project@gmail.comまで。

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