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トピックス

2018.01.10

“働く”の先にある、自分らしい人生 株式会社週休3日 永井宏明

 

今、浜松で起きている面白いこと。そこには必ずキーパーソンがいます。

彼ら彼女たちがいるからこそ、面白いことが起きている。

その発想を紐解くと、「創造都市・浜松」の明日のカケラが見えてくるかもしれない。

 

〜もし休日が1日増えたら、何をしますか?〜

 

この4月、ヤフーが週休3日制を試験導入すると報道され話題になりました。さらに、国による働き方改革、全世界で100ヶ所以上のコワーキングスペースを運営する「WeWork」の日本進出、テレワーク・デイの実施など、現代は社会や企業成長のためにも多様な働き方が求められる時代と言えそうです。今回は、週休3日正社員に特化した人材紹介を行っている永井宏明さんに、増えた1日がどのような影響を及ぼすのか、お話を伺いました。

▲代表取締役 永井宏明さん

▲代表取締役 永井宏明さん 

プラス1日が世界を変える

 

ーー週休2日正社員と比べ、年収は下がるものの社会保障が担保され、休日が1日増える週休3日正社員制度。家族の介護や自己投資、週末も家事で忙しい働くママの休息日になるなど、働く側にとってさまざまメリットがありそうです。また、生まれた1日を使い、趣味を楽しんだり、ボランティアに参加したり、創造的活動を活発にすることは、日々の暮らしの質や豊かさを高めていくことを目指す「創造都市・浜松」の考え方にも通じているように思います。一方で、企業にとっての「週休3日」は具体的にどのようなメリットがあるのか教えてください。

 

(永井)一番のメリットは、「働くモチベーション」です。介護施設の例ですが、5日勤務で疲れたから「もう1日休みたい」と言う人と、プラス1日の休みで心身ともにリフレッシュし「もう1日働いてもいいかも」と思う人とでは、仕事への取り組みやパフォーマンスが全然ちがいます。人事系コンサルタントが従業員向けの勉強会やセミナーをしても、このような気持ちにさせることは難しいと思います。結果的に離職率も低下し、サービスの向上も見られます。

 

ーーこのような仕事を始めたきっかけは何ですか?

 

(永井)10年ほど前になりますが、私も週休3日で働いていました。

 

ーーその頃、「もう1日」は何をされていたんですか?

 

(永井)共働きの妻との子育ての時間にしたり、専門学校の非常勤講師としてウェブの企画立案を教えたりしていました。あと、趣味で演劇もしているのでその時間に充てたり。その後、マネジメント業務が忙しくなり週5日勤務になるんですが、週休3日の期間の経験は今の仕事にとても役立っています。

 

(永井)趣味であれ、セカンドビジネスであれ、主体的に、意志を持って何かに取り組むことは人を成長させると思います。「もう一日」をどう使っているかが重要です。

 

ーー永井さんは週休3日正社員制度を通じて、柔軟な働き方を提案しているんですよね。

 

(永井)子育て中は週休3日で、子どもが大きくなったら5日勤務で働く方もいます。その時の状況に合わせて、自由な働き方が選べるといいですよね。柔軟な働き方がベースにあってこそ、多様性のあるクリエイティブな都市や企業になると考えます。

 

ずっと活躍できる社会

 

▲劇団「ムナポケ」演劇公演『最近のSF』より

▲ 劇団「ムナポケ」演劇公演『最近のSF』より

 

 

ーー2000年に「ムナポケ」という劇団を主宰され、もう17年になります。始めたきっかけを教えてください。

 

(永井)演劇は高校の演劇部から数えて、20年以上続けています。地方で演劇をしていると30歳ぐらいでやめてしまう人が多のですが、自分なりに考えて、少数精鋭で演じるスタイルが問題なんじゃないかと思いつきました。だったら、多数精鋭(条件付き)でいこうと(笑)。だから僕らの演劇は、Aという役に対して役者が2人いるダブルキャストを採用することもあります。

 

ーー少数精鋭と比べると、舞台のクオリティを高めることが難しいように思うのですが。

 

(永井)確かに細部にこだわった圧倒的な質の高さの公演は難しいですが、本当なら舞台に関われない人が関わることができるという強みもあります。みんな忙しいから、稽古も限られた回数で集中して行っています。決して誇れることではないですが、一公演にかける練習時間も一般的な劇団の20%程度ではないでしょうか。でも、条件下でいかに効率的に工夫して作品のクオリティを高めるかという点でストイックにやっています。

 

ーーお話を聞いていて、週休3日のスタイルに近いなと感じました。人生100年時代を迎え、高齢になっても働き続ける必要があるから、それをどう実現するかのヒントが今の演劇のお話にあるように思いました。

 

(永井)ワークシェアではないですが、優先順位を決め、役割を分担し、無駄を削ぎ落とし、SNSやITを活用し創作活動をしています。僕たちの劇団は少数精鋭でなく、仕事や家事・学業をしつつ、演劇という表現をする人たちからなる、多数精鋭(条件付き)です。

 

▲2人芝居『ふたりの7625』より

▲ 2人芝居『ふたりの7625』より

 

多様な生き方ができるまち

 

ーー週休3日正社員が働き方の選択肢の一つとなってきたら、まちにはどのような影響があると思いますか?

 

(永井)多様な顔を持つ人が増えるでしょうね。多様な価値観がまちにあると言うことです。魅力的なまちになると思います。そうなると、人を呼び込む力も付くんじゃないですか?例えば、浜松には週休3日正社員で働ける会社がたくさんありますよとアピールしたとします。1日増えた休日を使って、サーフィンを楽しんだり、楽器を演奏したり、都会の5日勤務とはちがう、新しい生き方、暮らし方ができますよとPRできる。そんなまち、住んでみたくなりますよね。

 

ーー企業としても優秀な人材を集められそうですよね。

 

(永井)東京で年収1,000万の人を地方に呼ぼうとすると、これまでは1,100万、1,200万など、金額を増額していたと思うんです。でも、地方の中小企業では現実的ではないし、もっと高い金額を提示されたらよそに行ってしまう。でも、年収は変わらないけれど、週休3日にして休日を1日増やすことは可能だと思います。お金という価値を提案するのではなく、都会とはちがう豊かな暮らしが実現できる価値を提案することは、高い共感性を生むはずです。多様な働き方は、今こそ地方都市に必要な視点だと考えます。

 

 

永井さんが提唱する「週休3日」というスタイル。その斬新さに目を奪われがちですが、多様な働き方ができるまちは、クリエイティブで多様な価値観を持った市民が多く暮らすという、創造都市の一面を実現するための一つのキーワードなのかもしれない、と思います。

 

(プロフィール)

株式会社週休3日 永井宏明

印刷・広告代理店の営業、ウェブのコンサルティング、総務人事職を経て介護施設の管理職を8年務めた後、創業。週休3日で働くことができる事業所を紹介するウェブサイトやWEBマガジン 週休3日.com などを運営する。共働き夫妻で、4人の子どもを育てるパパでもある。主宰する劇団「ムナポケ」では脚本・演出を手がけ、精力的に活動している。

 

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