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2019.10.23

当たり前を疑い、自分のできることをする[後編]ことゆく社 / 和久田麻衣さん・影山恵さん

〜行動することで、変えられることはありますか〜

 

5kgもある重いランドセルを背負って通学することを子どもたち。それを当たり前とせず、必要のない苦労から子どもたちを解放するために、新しいランドセルを開発することを決めた「ことゆく社」の和久田麻衣さんと影山恵さん。後編では、発売して感じたさまざまな「当たり前」への疑問について話を伺います。

 

影山恵さんと和久田麻衣さん2

▲ことゆく社の共同代表、影山恵さん(左)と和久田麻衣さん(右)

 

ーー2019年4月に「ことゆくラック」を発売しましたが、反応はいかがでしたか?

 

(和久田)ことゆく社のショールームはカフェの中にあるので、幅広い世代が来店します。意外と祖父母世代からは好評でしたが、案外、お母さんが「みんなと一緒じゃないけど大丈夫?」と子どもに聞く光景を目にします。今はランドセルのカラーバリエーションも豊富で、デザインが個性的なものも増えているのに、ナイロン製というだけで心配してしまう親御さんもいるようですね。

 

ーー実際に使うお子さんの反応はいかがですか?

 

(和久田)小1になる長男が使っていて、入学式にはじめて自分のカバンがみんなと違うと分かった(笑)。でも、他の子の革製ランドセルは教科書や荷物が入りきらなかったり、重くて泣き出す子もいたり。さらに息子が使っているナイロン製ランドセルの方が軽くていいと言う子も現れて。子どもが友だちのランドセルを背負ったら、「重いっ!こっち(ことゆくラック)がいい」って。親が思うよりも、子どもたちは気にしていないようですね。

 

(影山)子どもたちは5kgの荷物を背負ってフラフラになりながら毎日通学しているわけですから、嫌にもなりますよね。理想は手ぶら通学できたらいいんでしょうけど、文部科学省が通知した「置き勉」(※1)も、学校によって対応はまちまちなのが現状です。

 

ーーもうランドセルの話というより、教育問題になってきますね。

 

(影山)そうなんですよ(笑)。置き勉問題は私たちでは変えられない。じゃあ、私たちの力で何かできるんだろうと考えたら、ランドセルを作ることで子どもたちの負担を減らすことだったんです。

 

(和久田)子どもたちはこんなに大変なんですよって、声を上げて署名を集め、教育委員会に陳情に行くという手段もありますが、そこまで大げさなことをしなくても、親の判断でランドセルを替えるだけで、お子さんの負担がぐんと減る。人にお願いし、頼るのではなく、自分が行動することで、子どもが楽になるんです。もちろん金額的な問題もありますが、まずはランドセルを替えられるということに気付いて欲しいですね。

 

ことゆくラック2

 

 

ーーそのためにも、理想とするランドセルがちゃんとあることが大事なわけですね。

 

(和久田)ことゆく社のランドセルがあることで、子どもたちが重いランドセルを背負って通学している現実に気付いてもらえるし、それを改善したいという私たちの説得力も増します。自分たちがこうやって投げかけることで、ランドセルに関心を持ってくれる人が増えてくれたらうれしいですね。

だからランドセルを買う人たちだけでなく、たくさんの人にことゆく社のランドセルを知ってもらいたい。そうすることで、「何、あんなものを背負って」から、「軽くて楽なのを選べるようになったんだね」と周りの人たちの見方が変わるから。

 

(影山)新聞やテレビの取材を受けたり、はましんチャレンジゲートに応募したり、TEDxHamamatsuでプレゼンテーションしたりするのも、たくさんの人に知って欲しいから。とにかく今は、1人でも多くの人に知ってもらいたいです。

 

はましんチャレンジゲート優秀賞の盾

 

ーー今後の展開を教えてください。

 

(和久田)今年は、高学年向けに新しいランドセルを発売したいと思っています。子どもたちの体はどんどん大きくなるのに、1年生から6年生までずっと同じランドセルを使い続けるのはおかしいと思いませんか?子どもの体に合わせてランドセルを買い替えてもいいということを提案していきたい。

 

(影山)革のランドセルを否定するつもりはないし、戦うつもりもないんです(笑)。ことゆく社のランドセルに共感してくれる人に買ってもらえたらいいなと。ランドセルを買うときの選択肢の一つとして認知してもらえたらと思います。

 

(和久田)よく、5年、10年たったらこれがスタンダートになるかもねと言われるんですけど、つらそうにしている子どもたちの姿がまだ10年も続くのかと思うと、のんびりしていられない。自分たちの子どもや家族との時間も大切にしたいから、無理をしすぎないで、がんばっていきたいですね。

 

ことゆく社のオフィス

 

和久田さんも影山さんも、長年の商品開発の経験から、どうすれば不便さが改善されるのか、こんな商品があれば便利なのにという、「考えグセ」が体に染みついていて、それがランドセル開発につながったという話が印象的でした。これはおふたりに限った話ではなく、目の前にある課題を自分ごととしてとらえ、仕事や家事を通じて得た経験やスキルを生かすことは、誰にでもできることなのではないでしょうか。おふたりの話は、日々の生活において創造的な発想をし、行動することの大切さに改めて気づかせてくれました。

 

ことゆく社 共同代表 和久田麻衣・影山恵
それぞれ別のメーカーで商品企画デザイナーとして活躍していた和久田麻衣さんと、影山恵さん。小学生になった子どもが使うランドセルへ違和感を感じ、子どもたちの負担にならない理想のランドセル「ことゆくラック」を開発。重さは770gと、革製ランドセルの約半分。たっぷり収納できるなど、さまざまな工夫が施されている。2019年「キッズデザイン賞」日用品部門入賞。「2019グッドデザインしずおか」最優秀賞(金賞)。
直営ショップ
浜松市南区田尻町112
https://www.cotoyukuraccu.jp/

 

※1 置き勉
登下校時の荷物を軽くするために、児童・生徒が教科書などを教室に置いて帰ること。「置き勉強道具」の略。小・中学校では「脱ゆとり教育」へ方向転換後の2011年度以降、教科書の大判化やページ数の増加が進んでおり、教科書などの入ったランドセルや通学カバンの重さが子どもの発育や健康に影響を及ぼす可能性があるとして問題視されている。置き勉を校則で禁止している学校は多いが、保護者などの声を受け、置き勉を認める学校が中学校を中心に少しずつ増加している。
出典 朝日新聞
https://kotobank.jp/word/%E7%BD%AE%E3%81%8D%E5%8B%89-1979613

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