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2019.10.21

当たり前を疑い、自分のできることをする[前編]ことゆく社 / 和久田麻衣さん・影山恵さん

〜目の前にある疑問を、立ち止まって考えてみる〜

 

ことゆくラック1

 

2019年1月に発売されたナイロン製のランドセル「ことゆくラック」が、話題を集めています。重いランドセルを背負い、手荷物や水筒を持ってつらそうに通学する子どもたちを助けたい、そんな思いからスタートした新しいランドセル作り。770gという圧倒的に軽いランドセルが、子どもたちを自由にするだけでなく、大人たちが当たり前に思う既成概念を変えようとしています。このランドセルを開発し、販売する「ことゆく社」を訪ね、和久田麻衣さんと、影山恵さんにお話を伺いました。

 

影山恵さんと和久田麻衣さん1

▲ことゆく社の共同代表、影山恵さん(左)と和久田麻衣さん(右)

 

ーー「ことゆくラック」を作ろうと思ったきっかけを教えてください。

 

(影山)6年前、子どもが小学校に入学するので、私の親にランドセルを買ってもらいました。私が子どもの頃に使っていたランドセルは、背中が蒸れたり、肩が痛かったりした記憶があったけれど、もう何十年もたっているから改善されているとばかり思っていました。

でも自分の子どもが使い始めると、やっぱり背中が汗でびっしょりになるし、肩が痛いと言うし、そもそも荷物が入りきらない…。6万円もしたのに、なんでこんなに不便なんだろうと思っていろいろと調べたら、小樽市や京都市の一部でナイロン製のランドセルを使っていることが分かりました。

子どもが通っている小学校にも確認したところ、ランドセルは自由に選んでいいという返事だったので、ナイロン製のランドセルを取り寄せて使ってみることにしました。使い始めてみると軽くて便利だから、子どもはナイロン製しか使わなくなりました。でも、ちょっとサイズが小さく、使い勝手が気になり始め、いろいろと工夫しているうちに、もう、自分で理想のランドセルを作るのが早いと思い始めて(笑)

 

ーーおふたりはどんな風に出会うんでしょうか?

 

(和久田)当時、私の一番上の子どもが小学校入学を控えていて、ランドセルにはいろいろと思うところがありました。そんなとき、以前、同じ会社に勤めていた影山がFacebookでランドセルに対する疑問をつぶやいているのを読んで、分かる分かる!って(笑)。だったら一緒に作りませんかと声をかけたのが始まりです。

 

(影山)前職ではバッグなどの商品開発をしていたのですが、さすがにランドセルは作ったことがなく、どうしたらいいかと思っていたので、和久田が共感し、声をかけてくれたのはうれしかったですね。お互い、仕事と子育ての合間をぬってデザインや生地のことを打合せしたり、縫製してくれる工場を探したりするのが2年ぐらい続きました。

 

ことゆくラックと革製ランドセル

▲ことゆく社のナイロン製「ことゆくラック」(左)と、影山さんが6年前に買ってもらった革製ランドセル(右)

 

ーー初歩的な質問で恐縮ですが、子どもにとってランドセルって、そんなに大変なんですか?

 

(和久田)ゆとり教育が終わって、教科書のページ数が増え、サイズも大きくなりました。2018年には道徳が教科化され、外国語(英語)の教科化に向けた移行期間も始まり(※1)、小学校6年間の教科書のページ数は2015年と比べて1,000ページも増えたんです(※2)。他にも、ドリルなどの副教材もある。さらにランドセルも昔と比べて大きく、重くなって、荷物を入れた状態で量ってみたら5kg以上もあったんです。

小学1年生の平均体重が21kg程度なので、5kg以上のランドセルは自分の体重の約4分の1。体重の10%以上の荷物を持つと、腰痛や肩こり、成長の不安につながるとも言われています。大人だってそんな重さは体を痛めるのに、子どもたちは毎日5kg以上を背負って通学していることにおかしいと気付いて欲しいですね。

 

(影山)体操服が入ったナップサックに絵の道具など手荷物も多く、さらに水筒をたすき掛けしている。雨の日は傘をさすからさらに大変。手がふさがっているから、転ぶと本当に危険で。

 

ーーランドセルを作って、販売することに不安はありませんでしたか?

 

(和久田)毎日重いランドセルを背負って、つらそうに歩いている小学生がいる。それって本当に必要のない苦労をしているわけで、やっぱり放ってはおけないですよね。

 

(影山)ランドセルってちょっと特別というか、おひな様みたいにお祝いの品で、祖父母がお金を出すのが一般的。すごく高価なのに、子どもが毎日使う日用品でもある。祖父母や親御さん、子どもなど、みんなの思いがあって、最初は受け入れられるか不安はありました。

ただ、前職でも自分がこういうものが欲しいと思って開発した商品に共感してくれる人がいたので、少ないかもしれないけれど、全国を探したら共感してくれる人はきっといると信じていました。

 

ことゆくラックポスター

▲「ことゆくラック」のポスターにはおふたりの子どもも出演

 

自分の子どもたちの苦労や不便を解消してあげたいという親心から始まった、ことゆく社の新しいランドセル作り。後編では、発売して感じた課題についておふたりの考えをお聞きします。

 

ことゆく社 共同代表 和久田麻衣・影山恵
それぞれ別のメーカーで商品企画デザイナーとして活躍していた和久田麻衣さんと、影山恵さん。小学生になった子どもが使うランドセルへ違和感を感じ、子どもたちの負担にならない理想のランドセル「ことゆくラック」を開発。重さは770gと、革製ランドセルの約半分。たっぷり収納できるなど、さまざまな工夫が施されている。2019年「キッズデザイン賞」日用品部門入賞。「2019グッドデザインしずおか」最優秀賞(金賞)。
直営ショップ
浜松市南区田尻町112
https://www.cotoyukuraccu.jp/

 

※1 外国語(英語)の教科化
令和2(2020)年度から、新しい学習指導要領に沿った教育が行われる。これにより、これまで小学校5・6年生で行われていた「外国語活動」を3・4年生で実施し、5・6年生では新たに「外国語科」が導入される。平成30(2018)年度から平成31(2019)年度の2年間は移行期間とされ、本市では、3・4年生の外国語活動、5・6年生の外国語科の時間数を段階的に増やし、実施している。

 

※2 教科書のページ数の推移
一般社団法人教科書協会「教科書発行の現状と課題」によると、教科書のページ数(全教科、小学校1~6年合計、各社平均)は、平成27(2015)年度は6,518ページ、平成30(2018)年度は7,587ページ。
http://www.textbook.or.jp/publications/index.html

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