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2020.12.24

「Made in 浜松」 で再び、世界一に[前編]杉山ナッツ/杉山孝尚さん

~自分のやりたいことを見つけていますか?~

 

 

アメリカで、地元である浜松の偉業を知ったところから始まる物語。「遠州半立(えんしゅうはんだち)」(通称・遠州小落花(えんしゅうこらっか))という在来種の落花生を使ったピーナッツバターを製造している杉山孝尚さん。杉山さんの働く落花生畑を訪ね、遠州小落花との出会いから、実際に商品化に至るまでのストーリーを伺いました。

 

▲杉山ナッツ代表 杉山孝尚さん

 

 

―― まずは、現在に至るまでの経緯を教えてください。

(杉山) 高校卒業後、ダンスの勉強でアメリカに渡りました。遠鉄電車の高架下で仲間と踊ったり、クラブでパフォーマンスしたりしていたこともあって、高校2年の頃には渡米を決めていました。ダンススクールを卒業してからは、アメリカのコマーシャルに出たりして、夢を叶えることができたんです。でも、プロになってみると、クライアントから要求された振付けどおりに踊らないといけないわけで、自分のイメージするダンスとは違う世界だったんです。そんな中、アルバイトで弁当を配達したときに見かけていたスーツ姿のビジネスマンに憧れて、思い切ってビジネススクールで会計を勉強することにしたんです。卒業後は会計士として現地の会計事務所で働き始めました。

 

 

―― そこで遠州小落花との出会いがあったんですね。

(杉山) 2012年、アメリカの経済新聞を読んでいたんですね。すると、突然「ENSHU-PEANUT」という単語が目に飛び込んできました。記事の内容は、「1904年のセントルイス万博でENSHU-PEANUTがワールドアワードを受賞」というもの。100年も前のアメリカで、地元浜松の落花生「遠州半立」(※1)が世界一になっていたわけですからとても驚きました。自分の周りのアメリカ人は日本のことすら知らないんですよ。もっと日本のことを知ってほしいと思っていたところだったので、「世界一の落花生が日本にあるんだったら、それでピーナッツバターを作ったら、日本のことを知ってもらえる」と思ったのが最初ですね。

 

―― ピーナッツバターに特別な思い入れがあったんですか?

(杉山)実は13年間のアメリカ生活の中でピーナッツバターのことを不思議に思っていたんです。アメリカは様々な人種や宗教、言語が入り交ざった国ですが、なぜかどんな家庭にもピーナッツバターはあるんです。日本でいうと、醤油や味噌のような存在。アメリカのスーパーマーケットには落花生のグラインダーがあって、好きな分だけ自分で挽くことができるんです。ペースト状のピーナッツバターになって出てきて、自分も大好きで良く食べていましたね。

 

▲遠州小落花は粒が小さい分、甘味が強く、味が濃いのが特長。

 

―― 遠州小落花でピーナッツバターとは、なかなか斬新な発想ですね。

(杉山) もともと「もっと他に自分が大好きなものがあるんじゃないか」と常にアンテナを伸ばして探し求めていたところがありました。ダンスの時も、会計士の時も。だから「遠州小落花でピーナッツバターを作る」ってことも、自分の中では突拍子もないことじゃなかったように思います。

 

―― その後、すぐに行動に移されたんですか?

(杉山) 日本に一時帰国し、遠州小落花を栽培している農家さんを探しました。しかし、明治以降、遠州小落花の栽培は下火になっていて、最近ではほぼ作られていないことがわかりました。作られていたとしても家庭菜園程度で、しかも品種が遠州小落花かどうかはわからない。かつて世界一だった作物だったにも関わらず、絶滅寸前の状況でした。

 

―― そこであきらめなかったわけですね?

(杉山) ようやく探し出した、明治時代に刊行された落花生協同組合の古い文献が頼みの綱でした。当時の組合長さんの古い住所をグーグルマップでどうにか探して、お宅を訪ねたんです。ご子孫の方は農業をやめておられましたが、裏の雑木林に遠州小落花が自生していることを教えていただき、「持っていっていい」とご快諾いただきました。すぐ、採れるだけ収集しました。重さを測ると200グラム。品種も遠州小落花に間違いありませんでした。それが2013年のことでした。

 

 

 

ダンサーから会計士、そして遠州小落花との出会いを経て、世界一のピーナッツバターを作るために行動を開始した杉山さん。後半では、栽培にまつわる苦労やピーナッツバター製品化への道のり、さらに今後の夢についてお話をお聞きします。

 

 

 

杉山ナッツ 代表 杉山孝尚

浜松で生まれ、高校を卒業後、渡米。ダンススクールでダンスを学び、卒業後、ダンサーとして活動。のちに会計士へと転身し、アメリカの会計事務所に勤務。2013年に遠州小落花でピーナッツバターを作る夢を実現するために帰国。浜松市西区で知識も経験もゼロのところから栽培を開始。試行錯誤の末、念願のピーナッツバターを完成。さらに世界一の味を求めて挑戦を続けるとともに、農業の後継者育成にも力を注いでいます。

http://www.sugiyamanuts.com

 

 

※1 遠州半立(えんしゅうはんだち)

半立は国産落花生の種類の中の最高品種。甘みが強く濃厚な味が特長。見分け方は少し小粒で渋皮の内側に黒い模様がある。

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