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2017.03.07

カフェを通じてフェアトレードの意義を伝える【前編】タベボラ(三木美波さん・星野榛花さん)

今、浜松で起きている面白いこと。そこには必ずキーパーソンがいます。
彼ら彼女たちがいるからこそ、面白いことが起きている。
その発想を紐解くと、「創造都市・浜松」の明日のカケラが見えてくるかもしれない。

~その食べものは、どこの国で、誰が作ったものですか?~

 

何かしたい、という純粋な想い

私たちの身の周りには色とりどり商品があふれ、物質的にはとても豊かになりました。毎日飲むコーヒーの豆や、服の素材となるコットンなど、海外から輸入した原料で作られたものも少なくありません。もしも、その商品が不当に安く仕入れられたものだったり、幼い子どもが学校にも行けず、低賃金で働いて作られたものだとしたら、あなたはどうしますか?

公平な取引を意味する「フェアトレード」とは、発展途上国の製品を適正価格で継続的に買うことで、その国の労働者の生活改善や自立を目指す「貿易のしくみ」のこと。近年では、コーヒー豆やチョコレート、ワイン、コットン製品など、さまざまなアイテムがフェアトレード商品として販売されています。

このフェアトレードをもっと知ってもらいたいと、静岡文化芸術大学(以下、文芸大)の学生有志が始めた「タベボラ」。フェアトレード商品をカフェスタイルで提供する「食べるボランティア」です。今回は、同大学 文化政策学部 国際文化学科2年生でタベボラ2代目代表を務める三木美波(みきみなみ)さんと、イベント管理部の星野榛花(ほしのはるか)さんを訪ねました。

 


「タベボラ」が生まれたのは2年ほど前のこと。もともとフェアトレードや地産地消の普及活動をする同好会「りとるあーす」と、料理好きが集まる「SUAC kitchen」がコラボしたことに始まります。浜松で採れた野菜を使ったオープンサンド、インドやドミニカ産の紅茶やコーヒーなどを販売する、3日間限定のカフェを学内でオープンしたら、これが大盛況。

学生以外にもフェアトレードを知ってもらいたいと、自ら行政や企業に相談。縁あって、JR浜松駅北口のバスターミナルの地下でカフェをオープンできることになりました。三木さんも、星野さんもこの駅前出店からタベボラに参加しました。カフェは期間限定で毎週日曜10時〜17時(不定休)で営業するほか、月1回イベントなどに出店しています。

ーータベボラに参加したきっかけを教えてください。

▲タベボラ代表の三木美波さん


(三木)
高校生の頃から国際協力に興味があって、下澤先生(※1)がいらっしゃる文芸大に入学しました。文芸大には「ハビタット・フォー・ヒューマニティ(SUAC Habitat for Humanity)」という、発展途上国に家を建てに行く国際協力のサークルがあるんですが、別の活動と重なって入ることができませんでした。そんな時、タベボラがバスターミナルに出店するから協力しないかと声をかけてもらって参加しました。そんな単純な気持ちですみません(笑)。

▲イベント管理部の星野榛花さん

 


(星野)
私も発展途上国のために何かできないかなと思ってこの大学に進学しました。今、下澤先生主催の「国際協力キャリア塾」という勉強会に参加しています。ここでは講義や実践的なことを学ぶのですが、「学ぶばかりで何も行動できていない」と思っていた時期がありました。ある時、フェアトレードは日常でできる国際貢献だと気付き、タベボラに参加することにしました。


ーータベボラではどのようなことをされているのですか?


(三木)
私は代表として、企業やイベント担当者と打合せをしたり、カフェのシフトを組んだりしています。

(星野)
私はイベント担当としてこれまで、家であまった食材を持ち寄って料理をする「サルベージパーティ」や「遠州ロカヴォールの会」といった遠州産食材の認知度向上やフードロスを考えるイベントを企画しました。2年生でいったん引退するので、1年生への引き継ぎや、これから予定しているイベントのフォローなどもしています。


ーーおふたりとも高校の時、国際貢献に興味を持たれたそうですが、その道に進路を決めるほどのきっかけがあったのですか?


(三木)
国際貢献については高校の教科書でも紹介されていますし、フェアトレードについてはテレビで知りました。あと、姉が国際協力関係の学部に進学していた影響も興味を持ったきっかけですね。

 

 


(星野)
私もテレビで見たドキュメンタリー番組がきっかけです。フィリピンのゴミ山をあさって生計を立てている子どもたちを見て、自分との境遇の差に驚き、泣いてしまいました。高校の担任や母親からは「もう少し普通の学部に行きなさい」と反対されましたが、「将来、何か力になれる仕事をしたい」と思い、周囲を説得して文芸大に来ました。


ーータベボラに参加する学生は、みんな国際貢献に興味があるんですか?


(三木)
フェアトレードに興味がある学生もいれば、カフェをしたい学生、イベントを企画したい学生など、参加する目的もバラバラ。国際文化学科の学生だけでなく、デザイン学部の学生も参加しています。カフェの屋台やチラシなどは、デザイン学部のメンバーが作っています。私たちにはできないことをしてくれるので、とても感謝しています。

(星野)先日も、文字だけだったメニューを写真付きに変えてもらったら、すぐに売れるようになって。デザインの力ってすごいなーって(笑)。いろんな嗜好を持った学生がいるから、アイデアも自由に広がっていくのがいいですね。デザイナーの卵と一緒に活動できるのは文芸大の魅力だと思います。

 

※1
下澤 嶽(しもさわ たかし)
静岡文化芸術大学 文化政策学部 国際文化学科、同大学院 文化政策研究科 教授。シャプラニール=市民による海外協力の会事務局長、国際協力NGOセンター事務局長を経て、2012年より現職。研究テーマは、現代社会とボランタリズム、NGOと国家の関係、日本型市民社会。

タベボラ
フェアトレードの啓発を目的に発足した、学生有志による組織。コーヒーや紅茶など、フェアトレード商品をカフェスタイルで提供。毎週日曜10時〜17時まで浜松駅北口バスターミナル地下にてカフェを営業(2017年2月26まで)。2016年11月には、浜松市東区有玉南町のシェアオフィスに2号店をオープンし、多くの人へフェアトレードの意義を伝えている。
http://g1311101.wixsite.com/tabebora

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