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2021.12.03

逆境から生まれた音楽の新しい楽しみ方 アオイ楽器店/川上嘉将さん

昨年春、世界で新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい、日本でも緊急事態宣言が発令されました。学校は休校になり、人が集まる施設の使用は制限され、多くの人が外出を自粛していました。人波の消えた街に、時が止まってしまったような感覚を受けた方もあったのではないでしょうか。

浜松市内で1974年から楽器店を営む「アオイ楽器店」の代表取締役社長、川上嘉将(かわかみよしまさ)さん。緊急事態宣言下で音楽教室は休止し、従業員にも休んでもらい、社長一人が出勤して店を開ける毎日。先が見えず「そちらはどう?」と、同業者と電話で励まし合っていました。

 

 

なんとか事態を打開したいと考えていた川上社長。世間では“ステイホーム”が呼びかけられ、キーボードやギターなど、家庭でも楽しみやすい楽器がネット上では多く売れていました。アオイ楽器店でもネット販売を行っていますが、やはり大手販売店の方が目立ちます。「そのような状況の中でうちには何ができるだろうといろいろ考えた時に、やはり浜松の楽器店として音楽を通して何かしたいと。ネットはいいけれど、味や香りは楽器の奏でる生の音と同じでネットでは伝わりにくい。何か音楽と活かせるものはないか、香水はどうだろう?と思いつきました。」

 

▲音楽の香り「ベートーヴェン:エリーゼのために」黒いキャップはピアノの黒鍵をイメージした

 

香水を選んだのは、トップ・ミドル・ラストと香りが変化していくところが、音楽の楽章ごとに曲が変わっていくところと似ていると考えたからです。「調べていくと、香りもいくつかのものを組み合わせてハーモニーを楽しむところや、調香師の使う調香台を『オルガン』と呼ぶなど、香りと音の芸術性は近く、結び付けやすいのではないかという思いを強くしました。」音楽関係者にアドバイスをもらい、選んだ楽曲は楽器店らしく基本のクラシック。専門の制作会社と何度もやり取りし、社長自ら香りを試し、「バッハ:G線上のアリア」「ベートーヴェン:エリーゼのために」「ショパン:幻想即興曲」をイメージした3品が完成します。

 

 

完成した香水は化粧品店での販売ではなく、全国の楽器店の店頭で販売することにしました。「楽器店で香水とその曲の楽譜が一緒に並べられたらいいなと思いました。むかし楽器をやっていた方が、これを知ってもう一度楽器店に足を運んでみて、せっかくだから楽譜も買って家でちょっと弾いてみようか、そんな風になればいいですね。」

音楽をモチーフにした香水は珍しく、様々なメディアで取り上げられます。「取材に来た方の中には、スマホで曲を流しながら香りを試す人もいて、それが嬉しかったです。そもそもこの曲ってどんな曲だっけ?この曲か、聞いたことある!という風に、香りから音楽を知るきっかけにもなったら嬉しいです。」

 

▲音楽の香水「バッハ:G線上のアリア」

 

お客さんの中には「あの曲はありませんか?」と好きな曲の香りを求める声もあるそうです。「思い入れがある曲はほしくなりますよね。曲はまだまだあるので、たくさん作れたらいい。この香りはあまり……というのがあってもいい、曲もそうですし。音楽のまち浜松として、種類を増やしていきたい。」

コロナ下という厳しい状況の中で生まれた、音楽の新しい楽しみ方「音楽の香水」。この香水は12月11日、12日に開催されるサウンドデザインフェスティバルでも、実際に香りを試し、購入することができます。ぜひ、会場で名曲の香りをお楽しみください。

 

 

株式会社 アオイ楽器店 https://www.aoigakki.jp/

(写真提供:株式会社 アオイ楽器店)

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