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2018.10.19

街を多面的にとらえ、自ら多様性を作り出す[後編]建築デザイン事務所 +tic / 鈴木知悠さん

今、浜松で起きている面白いこと。
まだ、小さなムーブメントかもしれないけれど、
なぜか惹きつけられてしまう不思議な魅力がある。
その秘密を探ってみると、「創造都市・浜松」の明日のカケラが見えてくるかもしれない。

 

~街の多様な魅力を知っていますか~

 

浜松市の中心部に仕事場や工房、シェアスペースといった5つの居場所を持つ、建築家の鈴木知悠(ともひさ)さん。後編では、複数の居場所を持つことが自分にとって、そして街にとってどのような意味があるのか伺いました。

 

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▲浜松市中区にある「田町スクエア」。花屋だった店舗をリノベーションし、1階をセミパブリックな場所として解放している。

場所も、人も、多様なほど面白い

 

ーーどれも半径200mほどのエリアにありますが、徒歩圏内にある面白さは何だと考えますか?

 

(鈴木)散歩感覚で気軽に移動できるのはメリットの1つだと思います。事務所で仕事をしていて、ちょっと試作したいとなったら徒歩数分の工房で作業できるのは、建築家という職業柄とても便利です。

 

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▲天竜材を使って製作したベンチと椅子

 

ーー5つの拠点はそれぞれ役割も雰囲気もがらっと違っているのが面白いなと感じました。

 

(鈴木)事務所ではデザイナーたちと、工房ではサーファーのショップ店員と、マンションや田町スクエアではアーティストや映像作家、大学の後輩といった、職業の違う人たちと出会うことで、その場所に合わせて自然と僕も立ち回りやしゃべり方が変わっています。それぞれの拠点はそんなに広くなく、集まる人数も限られていますが、それが5つあるのが面白さだと思います。

 

ーー場所が複数あることで仕事に役立つことはありますか?よく言われるように、多様な刺激を受けてグッドアイデアがひらめくとか(笑)

 

(鈴木)どうなんでしょうか(笑)。元目町の一軒家は大家さんがイベントを企画していて、東京のレコードショップの内装のお仕事をいただきました。いろんな方と出会うことで、仕事の発生拠点になっているのは確かですね。

 

複数あることで生まれる心の余裕

 

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ーー鈴木さんは大学進学で浜松市に来られたんですよね。

 

(鈴木)生まれは神奈川県川崎市で、育ったのは山梨県の南アルプス市です。南アルプスを望み、近所に果樹園が広がるのどかな環境でした。ただ、母方の実家が東京都豊島区の池袋で昔ながらの銭湯をしていました。休みになると遊びに行くんですが、子どもながら山梨と池袋のギャップは印象的でしたね。あと、銭湯のロビーが広く、おじいちゃんやおばあちゃん、おじさんに子どもなど、いろんな人たちがやってくるのも楽しかったですね。

 

ーー銭湯という原体験が、肴町リトル(屋台村)や田町スクエアなど、人が集まる場や状況を作り出している今の仕事につながっているようにも思えますね。ところで、効率を考えると、今ある5拠点を1つに集約したいとは思いませんか?

 

(鈴木)大きな場所があるのなら試してみたいですね。ただ、紹介した5つの場所はそれぞれがシェアされているので、分散したものを1つにまとめてもコスト的には変わらないかなと思います。あと、近所に集まっているから、移動のコストもほとんどないですし。建築では大きな柱1本で支えるよりも、たくさんの柱で支える方が構造的に安定しています。私生活も同じで、友だちや恋人、家族、地域など、大切なものがたくさんある方がいいと思うし、豊かだなと感じるところはあります。

 

ーー1つしかないのは、リスクとも言えますよね。

 

(鈴木)場所も同じで、1つしかないと、そこを維持することが目的になってしまいそうで。5つあれば、何らかの理由でどれかがなくなってしまっても、他の場所に機能を移転できるなど、柔軟に対応できますから。他があるという安心感は大切かなと思います。

 

ーー今後も街中に拠点を増やしていく予定ですか?

 

(鈴木)実は、特に街中にこだわっている訳ではないんです。むしろ、浜松に居場所を残しつつ、東京や関西など、新しく別の場所に居場所が欲しいなと思っています。友人の家やお気に入りのお店へ行くように、ふらりと気軽に立ち寄れるような場所が作れたらいいですね。

 

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▲浜松市中区の路地裏にあるシェア型屋台村「肴町リトル」

 

鈴木さんのユニークなところは、他人の居場所を作ったことが自分の居場所になったり、自分の居場所を作ったことが他人の居場所になったり、どの場所も誰かとシェアしていること。無意識的にさまざまな刺激を受け、建築家という仕事にフィードバックされているのではないでしょうか。また、浜松市街地という限定されたエリアながら、住まいや仕事場、田町スクエアのようなセミパブリックスペースといった多様な切り口を与えることで、街の多様な魅力を発掘しているようです。何より、鈴木さん本人が、自ら作り出した街の多様性を楽しんでいるように思えてなりません。彼のような人が増えることで、街は彩りを取り戻していくのかもしれません。

 

+tic 鈴木知悠
神奈川県生まれ。静岡文化芸術大学 デザイン学部 空間造形学科を卒業。付け加えることの「プラス」と、広げるという意味を持つ「チック」を合わせた「+tic」を、同級生の鈴木陽一郎とともに主宰。建築設計に留まらず、ものづくり、まちづくり、企画運営とプロジェクトベースでの活動を行う。主な仕事として、アパレル工房兼ギャラリー「yacht」(設計施工)、シェア型屋台村「肴町リトル」などがある。
https://plus-tic.info

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